泳動結果
HEK293細胞に,N-末にHalo-tag が融合したMEK1を一過性に発現させました。
そのHalo-tag MEK1をZn2+–Phos-tag SDS-PAGEで解析しています。
検出は,抗Halo-tag 抗体です。
WTは,変異のないMEK1 です。
MEK1は定常状態の細胞内で,7つのリン酸化状態が存在します。
それは,バンドが7本(1~7)観察されることからわかります。
これら,7つのリン酸化種は,どこがリン酸化したことに起因して生じるのか
同定しました。
リン酸化プロテオミクスデータベースの
PhosphoSite plusによると,
MEK1のリン酸化部位として報告されているアミノ酸は14箇所ありました。
その部位をそれぞれアラニンに置換したHalo-tag MEK1 を発現させ,
リン酸化状態がどのようになるかを調べました。
リン酸化している部位がアラニン置換されると,
その部位に由来するリン酸化種のバンドは消失します。
この方法により,T292, S298, T386, T388の4箇所が主にリン酸化しており,
それによって6種類のリン酸化状態が生じることがわかりました。
それぞれのバンドのリン酸化部位をまとめたのが(b)の図です。
内在性のMEK1 でも同様に,定常状態で7つのリン酸化状態が観察されます。
Halo-tag MEK1を用いてリン酸化種を同定したデータを元に,
増速刺激を受けた時に,実際のMEK1のリン酸化種の変化を解析しています。